南海トラフ巨大地震、地球温暖化による風水害などの深刻予想によって自然災害の深刻さについての人々の認知は高まりつつあります。しかし、多くの人々は災害リスクに備える準備行動を実際にとるには至っていません。(内閣府政府広報室)これらの防災に対する意識と行動による差異が何か、その原因を考察し、多くの人に親しみがある図書館を活用した防災教育について提案します。
防災・減災を図る上で、どのような事が問題になっているのでしょうか。
以下の要素について考えてみました。
・防災意識が低い
(自然災害は悪化しているのは分かるが、自分の身には降りかからないと思っている。つまり実感がない)
・どこか人任せ
(誰かが何とかしてくれるだろうと思っている。主体性の問題。)
・コミュニティの希薄化
(家族が小さくなっており、家族の中の助け合いが成立していない。高齢化もあり、地域コミュニティは縮小化している。自治会に入らない人も増えている。)
(1)全国にある
図書館は全国にあり、地域住民には馴染みのある場所で行える。図書館は多くの市民にとって気軽に足を運べる場所であることから、防災教育が定期的に継続的に参加しやすい。
(2)だれでも利用できる
老若男女問わず来館する場所。
例えば、高齢者は新聞、学生は学習室の利用、児童は絵本の読み聞かせなど、現状のステージに合わせた活用が考えられる。図書館での防災教育に参加することによって、様々な世代のコミュニティが形成しやすくなる可能性もある。
(3)空間が活用できる
学習室やイベントスペースといった場を活用して防災教育ができる。新たな設備の投資は不要。
(4)すぐに調べられる
図書館は本の宝庫であり、わからないことがあれば、すぐに本で調べることができる。ネット、動画などとは異なった調べる方法にも触れることで、子どもの自主性や学力向上につながる可能性も広がる。
(1)防災クイズ
→床に〇と×の区画を作り、二択のクイズを出して参加者には移動して答えてもらう
(移動してもらうことで、全員が参加できるし、司会が進行具合を把握できる)
→クイズの後に解説を入れる
→参加の後は、忘れないようにクイズの内容と解説文を渡す
(2)防災ポーズ
→主に幼児対象
→イラストに描かれた災害に対して、いろんなポーズをとってもらう
→災害が起きた時に自然とそのポーズがとれるようにする
(3)実験
→液状化現象や火山の噴火などの仕組みについて模型を使って実験する
→自然現象がどうやって起こるのかを理解する
(4)体験
→要援護者の疑似体験
→非常用持ち出し袋の体験(袋の形状や荷物の重さによって負担が異なる)
住民の防災意識の向上や、コミュニティの形成・強化については、継続的な教育の実施であったり、住民同士の交流の場が必要となります。図書館は、その特性から防災教育に活用しやすい施設でもあります。現状において、図書館での継続的な防災教育は管見の限り限られた事例にとどまりますが、イベントの開催が継続的に行うことが出来る、かつ比較的幅広い世代にアプローチできる図書館での防災教育については、非常に有用であると思慮します。