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災害に強い社会づくりにおける重要な考え方

全国で頻発する自然災害。日本は外国に比べても自然災害が発生しやすい国土と言われています。日本では昔から数限りない災害に見舞われてきましたが、その中で知恵を絞り工夫し、災害を乗り切ってきました。自然災害による被害を抑える為には、自然災害が発生した際に必要な次の3つの言葉「自助・共助・公助」の意味が非常に大切になってきます。そこで、「自助・公助・共助」の意味を確認し、災害に強い社会をつくるための課題について考えていきたいと思います。

1.自助・共助・公助とは

自助とは「自分の命を自分で守ること」で、共助は「地域で助けあうことにより災害を防ぐこと」、公助とは「災害から暮らしを守るための、国や都道府県、市町村による対策や取り組みのことです。

自助とはどのようなことか?

自分の命を自分で守るために、さらには家族の命を家族で守るためにできることは、大きく分けて3つあります。「家を守ること」「備蓄をすること」「情報収集と伝達手段を確保すること」です。

 

〇家を守ること

具体的には、家具を固定、耐震シートの貼り付けを行う、寝室には物を置かないようにする、水害に備えて側溝の掃除を心掛けるなどです。阪神淡路大震災で亡くなった方の86.6%は自宅で、しかも神戸市内の死亡原因では83.3%の方が建物の倒壊や家具の転倒を原因とする「窒息死」「頭部や内臓などの損傷」「圧死」でした。

 

〇備蓄をすること

自宅で避難生活を送るのに必要なものを普段から買い置きする、定期的に点検をすることです。東日本大震災では、避難所に避難したものの多くの避難者がいて避難所を利用できないことが起こりました。しかも長期にわたりライフラインが止まり、スーパーなどでの食料等の調達が困難であったことなどにより、支援が必要になる在宅避難者が多くなりました。

 

〇情報収集と伝達手段を確保すること

災害伝言ダイアルの利用方法を確認する、防災アプリをインストールするなどです。大災害発生時は、電話が繋がり難い状況が続きますし家族が側にいるかもわかりません。災害時情報としてデマが流れることもあります。デマにより、より怖くて不安な避難生活を送った人がいるのも事実です。そんなデマに騙されないためにもしっかりとした情報源を知っておく必要があります。

共助とはどのようなことか?

地域や近所の人と助け合う「共助」の具体的な例としては、防災訓練に参加する、隣近所とのコミュニケーションを図るなどがあります。防災訓練に参加することで防災意識が高まり自助にもつながりますし、阪神淡路大震災では98%の方が自助と共助で助かったというデータもあります。

公助とはどのようなことか?

災害から暮らしを守るために、国や都道府県、市町村が行う対策や取り組みのことです。具体的には、防災マップの作成や啓発活動、避難訓練の実施などがあります。

2.自助は重要だが、準備している割合は少ない

冒頭に記載した3つの「助」(自助・共助・公助)の中でも、基本となるのは「自助」です。つまり、自分の命を自分で守ることで災害による被害をできるだけ少なくすることができます。しかし、準備をしている人が少ないのが現状です。身近な人と災害について話し合いをする人は、へいせい29年では57.7%となっています。住宅の耐震診断を実施している人は3割にも満たず、実施していない人は5割以上です。また、食料や飲料水、懐中電灯などの備えをしている人も5割を切っています。

2.自助は重要だが、準備している割合は少ない

3.行政に助けを求める公助だけでは限界がある

日本は自然災害が多いことから「公助」による取り組みが絶え間なく続いています。しかし、現在想定されている「南海トラフ地震」のように広い範囲で大規模な災害が発生した場合には、公助の限界についての懸念も指摘されています。

3.行政に助けを求める公助だけでは限界がある

4.いま見つめ直されつつある共助の考え方

最近では隣近所での付き合いが弱くなる傾向になりつつあると言われていますが、子育てを一人でされている方、高齢者で一人暮らしの方も増えてきています。自助で乗り切るには一人ではどうしても限界がありますし、公助では細かい部分までカバーしきれないようなこともあります。しかし、この限界やカバーしきれないような細かい部分は「共助」では助けあうことができます。1995年に発生した阪神淡路大震災では「公助」である救助隊による救出はわずか数パーセント。実に7割弱が家族も含む「自助」、3割が隣人などの「共助」により救出されたというデータがあります。高齢者をいかに避難させるか、しっかりした地域のコミュニティを作ることが必要ではないでしょうか。

 

Shiba

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