日本は地震大国と言われています。実際、世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約20%が日本で起こっています。
私たちは、震災での被害を最小限に抑えるため、事前に備えておく必要があり、備えるためには、地震の発生メカニズムといった基礎知識を知っておくことが大切です。
ここでは、地震に関する基礎的な知識をご紹介します。
地震は、地下にある岩盤(プレート)がずれることによって生じます。
では、なぜ岩盤がずれるのでしょうか?
〇プレートテクトニクス理論
地球の内部は、中心から内核、外核、マントル、地殻という層構造になっています。その中で、地殻とその内側にある上部マントルは硬い板状になっており、プレート(岩盤)と呼ばれています。地球の表面は10数枚のプレートに覆われて出来ています。
プレートは硬い水飴の様な性質があり、各プレートは長い年月をかけてゆっくりと動いており、プレート同士が衝突したり、すれ違ったり、一方のプレートが他方のプレートの下に潜りこむことによって大きな力が働きます。この力が地震を発生させます。
地震の大きさを表す用語として、「震度」と「マグニチュード」の2つがあります。
以下、各用語について説明します。
「自分のいるところがどれくらい揺れたか」という「揺れの大きさ」を指します。
震源からの距離や地盤の性質によって、揺れの大きさが変わります。
震度の決め方は国によって異なり、日本での気象庁の震度階級は震度0~震度7の10段階です。尚、各段階の説明は下記URLを参照。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/shindo/index.html
「地震そのものの大きさ・エネルギー」を指し、地震のエネルギーが大きい程、マグニチュードの数字は大きくなります。発生した地震について、その規模を示す1つの数値が定められます。
マグニチュードの数字の大きさから、地震の規模が分類できます。
大地震(M7以上)
中地震(M7未満でM5以上)
小地震(M5未満でM3以上)
微小地震(M3未満でM1以上)
極微小地震(M1未満)
地震のタイプとして、海溝型と内陸型に分類できます。
以下、それぞれの特徴について説明します。
海溝型地震の発生メカニズム、特徴について説明し、過去に国内で発生した海溝型地震について紹介します。また、来る南海トラフ巨大地震の仕組みや特徴についても見ていきます。
海側のプレートが、陸側のプレートを引きずり込みながら陸側のプレートの下に潜りこみます。それに伴い、陸側のプレートはひずんでいくが、摩擦の限界を超えると元に戻ろうとして跳ね返ります。跳ね返る時に地震が発生します。
1.規模が大きい・揺れる時間が長い
→陸側プレートが広範囲で跳ね返り、その力が強大であるため、規模が大きくなる(巨大地震では通常M8)
→また、広範囲で跳ね返ることから、その震動も長く地表に伝播する
2.津波が起こる
→海溝型地震の震源は、海底下にある
→地震の発生により、海底が隆起したり沈降することによって津波が発生する
3.一定の周期で繰り返し発生する
→プレートの運動は絶えず行われている
→海側のプレートが沈み込み、陸側のプレートが跳ね返るという現象は繰り返し生じる
国内で過去に発生した海溝型地震は以下の通りです。
1923年 関東大震災
1938年 福島県沖地震
1944年 東南海地震
1946年 南海地震
1968年 十勝沖地震・日向灘地震
1978年 宮城県沖地震
1994年 三陸はるか沖地震
2003年 十勝沖地震
2011年 東日本大震災
南海トラフ巨大地震は、海溝型地震のひとつです。今後30年以内に発生するといわれているため、ここでその仕組みや特徴について説明します。
(1)南海トラフとは
日本列島が位置する大陸のプレート(ユーラシアプレート)の下に、海洋プレート(フィリピン海プ
レート)が沈み込んでいる場所のことです。
(2)南海トラフ巨大地震の仕組み
1.フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜りこむことでひずみが生じる
2.ひずみが限界に達すると、ユーラシアプレートが跳ね返って地震が起こる
→南海トラフ地震は繰り返し発生しており、およそ100年から150年の周期で発生している
(3)発生過程の多様性
過去の事例をみると、発生過程には多様性がある
・1707年の宝永地震では、駿河湾から四国沖という広範囲で同時に地震が発生している
・近隣領域で複数の地震が時間差で発生する事例
→1854年の安政東海地震では、発生から32時間後に安政南海地震が発生
→1944年の昭和東南海地震では、その2年後に昭和南海地震が発生
⇒時間差にも幅がある
(4)発生確率と被害想定
30年以内に発生する確率は70~80%といわれており、最悪の場合、死者は32万人と想定されています。
内陸型地震の発生メカニズム、特徴について説明し、過去に国内で発生した内陸型地震について紹介します。
内陸型地震は陸側プレート内で発生します。プレートの運動によって岩盤に圧力が掛かり、ひずみが生じ、ひずみが圧力に耐え切れなくなると、その圧力を逃がすために岩盤の弱いところがずれる(断層活動)その時に地震が発生します。
1.規模が小さい・揺れる時間は短い
・広範囲なプレートではなく、特定の活断層がずれることによって生じるため規模が小さく(通常はM7まで)、震動時間も短い
※内陸型地震は、人の居住地域の直下で発生するため、被害は大きくなりやすい
また、震源が浅いと震度が大きくなる
2.発生周期が長い
・ひずみに圧力が蓄積される時間はゆっくり
・海溝型地震に比べて発生周期が長い
・特定の断層における地震発生の周期は、数千年~数万年といわれている
国内で過去に発生した内陸型地震は以下の通りです。
1995年 阪神淡路大震災
2000年 鳥取県西部地震
2004年 新潟中越地震
2007年 能登半島地震
2008年 岩手・宮城内陸地震
2011年 長野県北部地震
2014年 長野県神代断層地震
2016年 熊本地震
2018年 大阪北部地震・北海道胆振東部地震
一般的に、マグニチュードの大きい地震ほど被害が大きくなる傾向があります。そのため、地震の規模が大きい海溝型地震の方が規模の小さい内陸型地震よりも被害が大きいと考えられますが、実際には、内陸型地震の方が、被害が深刻になっています。内陸型地震は、人の住居地域の直下で発生し、揺れが大きくダイレクトに伝わるため、被害が大きくなるためです。
1.複数のプレートの存在
・日本周辺には、複数のプレートが存在する
(海側プレート:太平洋プレート、フィリピン海プレート
陸側プレート:北アメリカプレート、ユーラシアプレート)
・各プレートの運動によって摩擦が生じ、地震が起こる
2.多くの断層や火山の存在
・日本には2,000以上の活断層が存在する
→活断層:地震を繰り返し発生させ、将来も活動して地震を引き起こすと考えられる断層のこと
・日本には86の活火山がある(←世界の火山の内、約1割を占める)
⇒地殻変動しやすく、地震が発生しやすい
日本はこれまでの通りの理由で、地震大国と言われます。これから起こる地震に対して、出来ることから備えていきましょう。
・気象庁 地震発生のしくみ
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/jishin/about_eq.html
・防災科研 地震の基礎知識
http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/1stpage.htm
・相楽中部消防組合消防本部 地震の発生・種類について
http://www.sourakuchubu119-kyoto.jp/zisin/zisin.sikumi3.html
・海溝型地震
https://www.manabi.pref.aichi.jp/contents/17100006/break/kaiko.html
・海溝型地震とは?そのメカニズムと内陸型地震との違い
https://bousai-tech.com/saigai/kaikougata/
・仙台管区気象台 震度とマグニチュード
https://www.jma-net.go.jp/sendai/kyoiku/eqvol/i_m.pdf
・日本とヨーロッパの地形の違い
http://www.mlit.go.jp/common/001023990.pdf
・気象庁 南海トラフ地震とは
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/nteq.html
・地震~そこが知りたい基礎知識~
http://www.uraken.net/zatsugaku/zatsugaku_119.html
・JICE 地震の多い国、日本
http://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary12#jump_02
・地震本部 南海トラフで発生する地震
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kaiko/k_nankai/