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災害時の情報について

インターネットの普及に伴って、現在は情報が溢れかえるようになりました。SNS(ソーシャルネットワークサービス)、ツイッターなどによって情報が手に入りやすくなりました。しかしながら、その情報によって、振り回されていないでしょうか。

大衆がたった一つの情報に飲まれたとき、どのようなことが起こるのでしょうか。例えば、最近で記憶に新しい事例としては、タレントの堀ちえみさんが舌癌を公表されました。その際にきっかけが口内炎だったという話から、歯科医に電話が殺到するという事例もあったそうです。大衆が情報に飲まれたことで、どこかの誰かに負担がかかってしまいます。それが、災害時のような情報が限られて、さらに多くの方が冷静さを失っている時に起こると「災害デマ」となります。

1.災害デマの事例

情報に飲まれることによっておこる事象は、災害時になると更に深刻になります。過去に起こった事例を見てみましょう

(1)1923年の関東大震災では「朝鮮人が井戸の毒薬を投下した」などの流言で、多数の朝鮮人が虐殺されました。

(2)1995年の阪神淡路大震災では「また大きな地震が来る」「外国人の窃盗団が荒らしている」などの噂で混乱しました。

(3)2011年の東日本大震災では「放射線の被ばく予防にヨウ素入りのうがい薬を飲むといい」などの誤情報がインターネット上に出回りました。

(4)2018年の西日本豪雨では「レスキュー隊のような服を着た窃盗団が被災地に入っている」といったデマで警察への問い合わせが殺到しました。

 

これらは、デマと判明した後も警察官が避難所を回ったり、避難者の多い集落に掲示が徹夜で警戒にあたるなどの対応に追われたといった事態に発展しました

2.災害デマの分類

どのような災害デマがあるのかを大きく四つのパターンに分類しています。

(情報解析会社「スペクティ」(東京))

(1)オオカミ少年型                                   

 「事件だ」と騒いで実際は何も起きていません。

 

(2)ヘイト型                                      

 外国人や特定の団体に対する差別的なデマを流します。

 

(3)勘違い型                                      

 単純に発信者の思いこみから広まります。

 

(4)伝言ゲーム型                                    

 最初の情報は事実でも、人から人へ伝わる過程で情報が誤ってしまいます。

 

2016年の熊本地震では、「ライオンが逃げた」と投稿した男が偽計業務妨害容疑で逮捕されました。不起訴(起訴猶予)となりましたが、男は「びっくりさせてやろうと思った」と供述したといいます。熊本県警によると、1時間で2万件以上のリツイート(転載)があり、動物園には電話が相次ぎました。

3.災害デマが起こる原因

災害デマが起こる原因としては、災害時の情報不足が原因です。被災者が求めている情報が圧倒的に不足していることから、災害時には誤情報が混じりやすくなります。情報を欲するあまりに、誤った情報も鵜呑みにしてしまいます。

4.災害デマを減らすために

<公的機関の情報を積極的に得るようにする>

 近年では役所、警察などの公的機関もSNS、ツイッターなどを積極的に活用されています。

 

<情報を拡散する時には配慮>

 情報を拡散する人は善意のつもりで情報を流したとしても、そのことで人に危害を加えたり、本来救助にあたるべき人手を割いてしまっている可能性もあります。

 

<AIの活用も始まっている>

 NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」が東北大学などと連携し、AIを使って情報の精度が怪しい投稿を抽出する仕組みを作りました。実際に2019年5月から抽出した投稿の情報を報道機関に提供し始めています。

5.情報に飲まれないために

<冷静に>

 情報を取得しても、その時点で感情的になってすぐに反応せず、一歩立ち止まって自分で考える習慣を身に着けましょう。

 

<検証>

 1つの情報だけでなく、他の情報も調べて「本当に正しい情報なのか」を冷静に検証しましょう。

 

<意識>

 日ごろから情報の扱い方に注意して過ごしましょう。

一般社団法人全日本防災計画協会

黒田尚寛

阪神大震災に被災した方の話を聞くにつれて、地震のあまりに大きい被害を知りました。
また、その反面、人々が協力し合って、災害を乗り越えた話を聞き、心強さも感じました。
これから起こりうる自然災害からたくさんの人を助けたい、そう強く考えております。
その為に自分は何が出来るのか、日々模索し、鍛錬を積んでいきたいと考えております。

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