一般社団法人全日本防災計画協会ブログ

  • 火山噴火の基礎知識

一般社団法人全日本防災計画協会

黒田尚寛

火山噴火のメカニズムと避難時に注意すること

世界には約1500の活火山があり、地球上の活火山の約10パーセントが日本に密集しています。

火山噴火が起こると、高温の火山灰や岩魂などが流れてくることがあります。また、噴火場所から離れた住宅地でも、直径50センチ以上の噴石が落ちてくることもあるので、注意が必要です。

1.火山噴火のメカニズム

火山とは、地下にあるマグマが溶岩となって、地表や水中に噴出することで出来た山のことで、地球上の、ある限られた地域に偏って分布しています。日本の火山は、海溝と呼ばれるプレートの境目にほぼ平行に分布しています。火山の地下にはマグマがあり、そこからマグマが溶岩となって、地表に出る現象が「噴火」です。

大地震によって火山噴火を誘発される可能性もあります。それは数年たってから噴火する場合もあります。

 

1-1.日本の火山の種類と特徴

世界には約1500の活火山があり、地球上の活火山の約10パーセントが日本に密集しています。火山の種類は、大きく分けると3つに分けることができます。海嶺型、ホットスポット型、海溝型の3つです。これは、プレートの分布と大きく関係しており日本の火山は海溝型に属しています。

4.噴火した時の避難方法を事前に知っておきましょう

噴火により、甚大な被害がもたらされます(ガスの放出、岩石の飛来、溶岩の流出、降灰など)。被害を最小限に抑えるためい、事前に備えるようにしましょう。

1.ハザードマップをチェック

自宅や学校、勤務先などの危険性を把握しておきます。

2.防塵マスクや防塵メガネ

噴火が起こって避難する際、煙を吸い込んだり、塵などで目を傷つけないよう、目や鼻、口を覆うものが必要です。

5.避難する時の手順

1.噴火警報確認

2.ブレーカーをオフにし、ガスの元栓を閉める

3.なるべく肌を露出せず、防塵マスク、防塵メガネを着用して避難する。

 

※前面の見通しが悪くなり、ブレーキの利きが悪くなるので、自動車や自転車、バイクなどはなるべく控えましょう。

参考文献・サイト

・気象庁「噴火警戒レベルの説明」(https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/level_toha/level_toha.htm)を加工して作成

1-2.災害の要因となる「主な現象」とその特徴

火山噴火に伴う災害の要因となる、主な火山現象は以下の(1)~(7)などがあります。

(1)溶岩流

地下のマグマが火口から噴出し地表を流れ下る現象ことで、歩行による避難が可能な場合もあるくらい比較的ゆっくりと流れるのが特徴です。

(2)火山灰

火山灰とは、噴火によって火口から噴出する岩石のうち直径2mm未満の細かい固形物のことで、風の影響で火口から離れたところまで拡散するのが特徴です。

(3)火山ガス

火山から噴出する高温のガスのことで、火山ガスを吸うと気管支などの障害や中毒等を発生する可能性があります。

【以下(4)~(7)は、特に噴火に伴って発生し避難までの時間の猶予がないもので、事前の避難が必要な防災対策の重要度の高い火山現象とされています。】

(4)小さな噴石

小さな噴石とは、噴火によって火口から噴出する直径数センチの岩石で、風の影響で遠方まで流されてふるもののことで、火口付近では、小さな噴石でも飛散し登山者等が死傷することがあります。

(5)火砕流(※破壊力が大きく、重要な災害要因となりえる)

噴火によって生じる土砂移動現象の一つのことで、空気よりもやや重いのが特徴です。数百度以上の高温で、速度は時速百km以上に達することもあります。

(6)大きな噴石(※危険性が非常に高い)

噴火によって火口から噴出する概ね20~30cm以上、場合によっては直径50cm以上の岩石のことです。風の影響は受けないが、弾道を描いて飛散するもののことで、避難までの時間の猶予がほとんどないのが特徴です。

(7)融雪型火山泥流(※積雪期に注意が必要)

積雪期の噴火により、溶岩や火砕流の熱で雪が溶けて地表を流れる現象のことです。

時速60kmを超えることもあり、遠方まで流れ下ることがあります。

雪が溶岩や火砕流の熱で溶けるので、天候とは無関係に起き、予測が大変難しいのが特徴です。

2.どのような被害が考えられるか

2-1.噴火による一次被害

(1)溶岩流

高温の溶岩が地表を流れ下り、近くの木々や農耕地、道路や集落を焼失、埋没させます。

(2)火山灰

結膜炎・角膜剥離などの人体への健康被害のほか、農作物、建造物、交通機関(特に航空機)などにも被害をもたらします。

(3)火山ガス

人体に有害な成分(二酸化硫黄(亜硫酸ガス)や二酸化炭素など)を含んでいるので、皮膚、目、粘膜を刺激し、持続性の咳や痰などの症状が出るリスクが増加します。

(4)小さな噴石

火口から10km離れた場所にも噴石が飛来する場合もあり、当たり所によっては人が死傷することもあります。

(5)火砕流

火砕流は最も速いところでは時速100kmを超えるため、発生したことを確認してからでは避難が間に合わないため人命に対する危険度が非常に高いです。

(6)大きな噴石

火口から2km~4kmに多数飛来し、火口から出てくる速さは200m/sを超える場合もあり、被害としては建造物の屋根を破壊したり、登山者が死傷するなどがあります。

(7)融雪型火山泥流

天候とは関係なく火山のふもとにむかって高速で大量の泥流が流れ下り、広い範囲で泥の海となります。

2-2.噴火によって、確率が高くなる二次災害

火山噴火で起こる二次災害には津波があります。そして実は噴火災害の犠牲者の8割以上が津波によるものなのです。津波が発生する理由は、比較的規模の大きな噴火が発生したときに、山の斜面の一部が崩れ、海に流れ込んだことにより発生し、対岸の陸地へ波が押し寄せたと考えられます。

3.噴火警報・予報の種類

活火山とは、概ね過去一万年以内に噴火した火山、および現在活発な噴気活動のある火山と定義されています。日本には111の活火山があり、地球上の活火山の約10パーセントが密集しています。この111の活火山のうちの50の活火山については、火山防災の為に火山の活動を24時間体制で常に観測・監視が必要とされています。さらにこの50の火山のうち、45の火山(令和元年5月現在)では、特に警戒が必要な山ということで噴火警戒レベルが運用されています。詳しくは、以下の表をご参照ください。